会計士試験の学習のボリュームの多さに心が折れそうになることもあるだろう。
だが、それらは将来会計士として活躍するための大切な基盤となるものである。
皆さんには、自分が何を目指しているのかを明確にして、どんな困難にも立ち向かってほしい。
とある早朝のこと。
空いている車内で、座席に腰をかけ、新聞を読もうとしたら、ドアの近くで立っている若者が目に入った。
こないだご質問にいらしたKくんだ。
なんで座らないんだろう。
新聞を開きつつも、申し訳ないが、Kくんの所作が気になった。
お、テキストを取り出したぞ。
うわ、テキストが分厚くなってる。
どれだけ読み込んでくれているのだろう。
教材に魂を込めている身としては、とても喜ばしい。
「頑張れ!」と思いながら、新聞を読むことにした。
会計士試験は科目も多く、範囲も広い。
学習をしていて、そのボリュームに心が折れそうになることもある。
それでも、何度も論点に触れることで、本質がみえてくる。
どの内容も、すべて監査業務を行うための基盤となる、重要なものである。
監査業務は、協力しあい、円滑に行うことが必要であるが、馴れ合いにならないようにしなければならない。
表明する意見は、自分の心のコンパスがどこを指すかにかかっている。
この品質が保たれている以上、監査業務にまつわる、経営者とのコミュニケーションや専門家としての最後の判断は、しばらくAIに代替されることはないであろう。
Kくんが質問にいらした。
「ごめんねー、こないだ電車で見かけたんだけどさ、声かけられなくて。空いてるのになんで座らなかったの?」
「そうだったんですかー。座ると寝ちゃうんですよ。移動時間って意外と集中できるんですよね。だから寝るともったいなくて」
どんな困難にも、立ち向かう。
Kくんのコンパスは、「合格」を指し示している。