長く厳しい受験勉強の中では、時には希望を失うことがあるかもしれない。
そんな時には、うつむかずに顔を上げよう。
希望は決して失望に終わることはない。
私の心の中に強く印象に残っている受講生がいる。
最初に目についたのは、入門講義時の教室での姿勢である。
教室の前方の席に座り真剣に講義を受ける表情が教壇からも大変印象的であった。
また講義の休憩時には一心に計算問題に取り組んでいた。
それ以来、本試験でなかなか良い結果が出ないことが続いても彼の姿勢は崩れなかったが、教室で目にする彼の表情が辛そうに見えることが何度もあった。
彼の書く答案からは努力の跡とともに、自分への苛立ち、勉強への倦怠が色濃くにじみ出ていた。
講師は、頑張っている者に頑張れとは言えない。
ありきたりの励ましは口にできなかった。
ただ、彼が自分を信じきれなくても、私は彼を信じ続けたいと思っていた。
今年の本試験の受験を終えた彼と話す機会があった。
「上手く書けないところもあったし、合格している自信はない。でも現時点での自分の力は出し切れた」と語る彼の口ぶりが本当にすがすがしく、以前の彼の表情とは全く対照的だったことが強く印象に残っている。
私はその時、彼の今年度での最終合格を予感した。
最難関の会計士試験に挑むときには、その壁の高さに何度も怯むこともあるだろう。
先の見えない不安を覚えることもあるし、無限の繰り返しと思えることに気持ちが押しつぶされることもある。
今、ここでもう一度顔を上げて前を見よう。
いつでも誰でもどんな状況でも必ず希望を見出すことができる。