思いを遂げるまでは決してあきらめない。
最後まで執念を燃やせばその思いはきっと遂げられる。
昨年、離れて暮らす母が亡くなった。
「まだやりたいことがいっぱいあるからまだ死ねん。」が母の口癖で、9年間のがんとの闘病生活も耐えてここまで生きてくれた。
そんな母の最後の思いは、父と上京して私の家族と旅行に行くことであった。
退院して落ち着いたらと数か月先の旅行の約束をし、予定を立てていた矢先、母から電話があり、「週末にそっちに行くから」とのこと。
退院したら迎えに行くからと電話を切った翌週に母は亡くなってしまった。
今思えば、どうしても思いを遂げたかった母が、何かを感じ取って上京しようとしたのだろう。
母を見送った後、父だけが上京し、予定通り旅行に出かけた。
母の分も楽しんで帰ろうと上京した父を帰りの空港で見送っていると、手荷物検査を終え、奥の柱の陰から出てきた父の後ろを背格好も歩き方もそして髪型までも母と瓜二つの人影がついていくのである。
次の柱の陰に隠れ、再び出てきたときにはその姿はなかった。
ただの人違い、見間違いに違いないが、その時の私は、執念をもって生き続けた母が最後の思いと遂げて帰ったのだと、人目もはばからずその場で涙していた。
受験生の皆様におかれては、これまでも様々な困難を乗り越え、苦しい受験勉強を耐え、『合格』を掴むために取り組んできたことであろう。
そして、残りの受験生活においても、辛く苦しいことはあるだろう。
しかし、その思いを遂げるまでは、決して諦めないでほしい。
最後まで思いを遂げることに執念を燃やせば、その思いはきっと遂げられる。
あともう少し。
皆様の頑張りと検討を祈ってやまない。