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Q.2017年8月25日(金)から27日(日)平成29 年公認会計士論文式試験の出題傾向を踏まえた、今後の論文対策のポイントを教えてください。

財務会計論(計算)


基礎力の強化を!

3年連続で、第3問は基本的な問題、第5問は応用的な問題という構成でした。

この傾向が続くとすれば、基本的な問題での確実な正答が重要になります。

応用的な問題に合わせた対策は費用対効果が良くなく、部分点勝負となるため大きな差がつきにくいのですが、基本的な問題は努力が報われやすく、また本番でも非常に差がつきやすいです。

応用的な問題に振り回されることなく、答練や問題集の問題を繰り返し解くことが重要です。

また、問題演習を通じて気になった箇所はテキストに戻り、知識を体系化しておくことも必要です。

基本的な問題の得点力を磨いておけば、応用的な問題に対しても冷静に対処できるようになるでしょう。

財務会計論(理論)


典型論点のインプットとアウトプット

今回の本試験でも、実務指針や適用指針などを出典とする難解な問題が出題されましたが、これらのうちテキストや答練で見たことのない項目は、実質的に埋没問題となるため、典型論点でいかに得点を獲得できるかが勝負の分かれ目となります。

大原の理論テキストは、公認会計士・監査審査会公表の出題範囲の要旨に準拠し、論文重点出題項目を明示して作成してあります。

テキストで学習した項目のうち、論文対策に必要な主要論点は、すべて携帯に便利なインプット用教材であるポケットコンパスに収録してありますので、まず、テキストとレクチャーを通じて典型論点を理解し、次に、ポケットコンパスを利用して典型論点を暗記しましょう。

ポケットコンパスに収録されている典型論点と答練の知識をベースに解答を組み立てることができる問題で得点を積み重ねていけば、本試験でも必ず合格点を獲得することができます。

テキストとポケットコンパスで典型論点をインプットし、答練のアウトプット練習を通じて、自身の理解度や暗記の進捗度を確認していただくのが、最も有効な対策といえるでしょう。

管理会計論


土台となる計算力の醸成

まずは、土台となる計算力の養成が不可欠です。

今年の問題は、ミスのできない問題であり、解いていて手が震えたことでしょう。

日頃の練習量がそのまま結果に結びついたことと思います。その上で、計算結果につながる記述が求められますので、解けるようになった問題を考えながら、メカニズムを理解することが今後も重要です。

なお、3年前の本試験では計算量の多い出題もありますので、レクチャー期からの問題演習は非常に重要となります。

理論問題については、前述の計算メカニズムの説明ができるかどうか。

特定の論点について目的、特徴、登場の背景をおさえることが重要です。

そのためにも、レクチャーを受けて論点を把握・理解し、復習時に具体的なイメージをしながらテキストを読むことです。

さらに、答練を受講し、解説を聞いて復習をすることで、本試験における現場対応力を醸成することが重要です。

監査論


基礎を大事に

文章の読み取りが難しく、暗記したことをそのまま解答するという問題ではない問題が多く出題されましたが、受験生が準備すべきことは変わりません。

なぜなら、基本的な知識を確実にすることで、自身の考えを文章にし易くなりますし、それが考えるための材料となります。

また、この形式が翌年度も続くとは限りません。

どのような問題にも対応できるようにするためにも基本的な事項を覚えるということは必須の対応です。

そのために、テキスト、問題集、答練を繰り返し確認してください。基本的な事項を覚えていないのであれば、そのような問題が出題されたときに大きく不利となるということをしっかりと認識して準備をしてください。

企業法


事例分析力、条文操作力の向上を!

近年の論文式試験では、やや複雑な事例が提示され、その中で問題となる点を法的に分析する力が必要とされています。

もう少し具体的に言いますと、いかなる条文(制度)が問題となっているかを的確に判断し、その条文適用に必要な要件をピックアップし、問題文の事例の中でどのような事実がその要件にあてはまるのかを判断する必要があるということです。

したがって、論点の学習はもちろん重要ではありますが、条文・要件をピックアップする力、事実を要件にあてはめる力も同時に養っていく必要があることになります。

もちろん、そのような力をつけるには、基礎的知識がしっかりとしているという土台があってこそです。

知識に基づかずに技法ばかり習得しても、内容の伴った論述は不可能です。

したがって、今後の論文式試験に対する対策においては、日頃のレクチャーやテキスト、問題集での基礎固めの重要性を再認識していただくと同時に、答練・模試における実践により解法の経験値を積み上げるという意識を持って受けていただくということが重要になると考えます。

租税法


計算基礎力のアップと理論基礎の理解

まず、法人税を中心に、所得税、消費税の計算の基礎を固めて、しっかり得点できる実力をつけることが必要です。

所得税や消費税の計算も疎かにせず基礎はできるようにしてください。

理論対策の基礎学習として計算構造を理解することは重要です。

法人税と所得税に関しては、法人が取引を行った場合と個人が取引を行った場合の税務処理の違いを押さえることが重要です。

また、消費税は課税、非課税、輸出免税、課税対象外(不課税)の区分がポイントになりますので、テキストの内容をしっかり押さえることが重要です。

理論は計算で学習した知識を基に、理論としての各規定の内容や趣旨及び考え方を理解することが必要です。

また、事例に対する各税法(法人税、所得税、消費税)上の取扱い、理由、根拠条文の指摘ができるように理論対策及び論文総まとめレクチャーを受講し、これらのテキストの事例問題や答練問題をしっかり確認することによってレベルアップを図ることが有効な対策になると思います。

経営学


テキスト掲載論点を優先して仕上げる

経営学に関しては、「組織論・戦略論」と「ファイナンス理論」から出題されるというパターンが、今後とも続くと予想されます。

「組織論・戦略論」の分野については、出題範囲が極めて広範に渡ります。

また、本年度も昨年度に引き続き、短文形式の出題がありましたので、来年度に向けて、記述対策が必要となるでしょう。

ただし、“記述対策”といっても、3行~4行(字数にして90字~ 120字程度)の説明ができれば良いわけですから、深く掘り下げて理解する必要はありません。

テキストに掲載されている項目について穴を作らず、ポイントだけでもおさえていく、というスタンスで学習していくことが大切になるのではないかと思います。

また、用語の穴埋めの比率が増したこととともに、用語の定義を記述させる問題が毎年出題されています。

これらについては、ポケットコンパスを利用して、AランクとBランクの用語について、専門用語の名称だけでなく、定義も書けるように暗記することが重要となります。

「ファイナンス理論」については、用語・概念の意味とグラフ、計算をリンクさせながらマスターしていくという、基本スタンスを崩すことなく、学習してください。

特に計算については、いたずらに計算パターンを暗記するのではなく、行っている計算がどのような意味を持っているのかを理解しながら学習していくようにすると、少し違った角度から問題が問われた場合でも、対応することができます。

計算の意味を理解しようとする際には、グラフを書きながら、計算した数値がグラフのどこに位置づけられるのかといったことなどを通して考えていく癖をつけることが効果的です。

経済学


シンプルな計算と図解で論点の本質を

極めて簡単とも言えますが、注意していただきたいのは「簡単」と「高得点」は同値ではないということです。

先ほど申し上げたような大原経済の「神(紙?)答練」でしっかりと鍛えられた大原生なら「高得点」かつ「差別化」できること請け合いです。

したがいまして具体的な来年の対策としては、大原の答練で出題される基本典型的でシンプルな計算・記述・説明問題を一つ一つ着実につぶしていくことです。

その際、図解とともに原理原則から正確に理解し、「要するにこういうことだ」という本質を見極めていくことが重要です。

そして、その度合いが高い方ほど、より高い「差別化」すなわち「偏差値」が得られることでしょう。

一方、ひたすら計算力のみを磨く努力は必要はありません。極めて基本的な計算のみ正確に実行できるようにしておけば必要十分です。

民法


基本的事項や典型論点の正確な理解を

今年の本試験では、第5問の問題1の問1、問題2の問1、第6問の問題1で典型論点が出題されました。

また、第5問の問2は問題1、問題2ともに基本的事項の記述が求められました。

今後の対策としては、学習する対象を基本的事項や典型論点中心に絞り込むと同時に、一つひとつの正確な理解を心がけることが必要です。

正確な理解のためには、①テキストの該当箇所を丁寧に読むとともに、②どのような場合にどのような問題点が生じるのか、その事案だとどうしてその点が問題になるのかについて、問題集や答練の問題の事案をよく読んで問題の所在を把握することが大切です。

また、注意しておきたい点として、基本的事項や典型論点は、いつ出題されてもおかしくないという気持ちで、学習することが大切です。一般には過去2・3年内に出題された論点は優先順位を下げて学習する傾向がありますが、10年間のうちに4回出題されている論点があるように、それは危険です。

そして、もう一点、答練の重要性を強調したいと思います。

大原では、判例等を分析し、試験委員の先生方が関心を寄せられているであろう分野から答練を出題するように工夫をしており、今回もその成果が表れました。

答練を受けることで、知識を確認するだけでなく、現場思考能力も身につけていただきたいと思います。

統計学


題文をじっくりと読む

問題文が長くなったところで、問題の難度が上がるわけではないのですが…。受験生にとって、イヤな感じがするのは事実でしょう。

一番よくないのは、長いからと言って流し読みをすることです。

問題文を落ち着いて読むことは、全科目に共通する基本中の基本といえます。

実は、統計学では、少しずつですが、計算量も年々増加中です。

依然として、2時間で容易に解き終わる分量ではありますが、見直しに回せる時間が年々減っています。

ここでも、重要さを増して来るのは、問題文を落ち着いて読み、丁寧な計算を行う冷静さです。

最も重要なのが基礎的な学力であることは言うまでもありませんが、本試験という人生の一大イベントにおいては、冷静さを保てるかどうかも重要な要素。

受験生には、日々の答練を真剣すぎるほど真剣に受けることで、本番であせらないための訓練をしていただきたいと思います。

まとめ

科目ごとに今年の学習指針をまとめると次のとおりです。

財務会計論(計算)

答練を繰り返し解きながらテキストを確認し、基本的な問題の得点力を養うこと。

財務会計論(理論)

テキストや答練で紹介している典型論点を確実に正答できるようにすること。

管理会計論

テキストの確認から、基本的な問題を確実に解答できるようにすること。

監査論

さまざまな問題に対応するために、基礎論点を確実にすること。

企業法

問題集だけでなく、必要に応じてテキストに戻り、基本的な知識を確認すること。そして、答練を通じて、現場対応力や事例分析力を高めること。

租税法

法人税、所得税、消費税の基礎的な計算問題を反復練習し、確実な実力を身につけ、理論は法人税、所得税、消費税の各規定の重要項目の取扱い、その理由及び根拠条文を中心に押さえていくこと。最後は必ずテキストに戻り確認すること。

経営学

ファイナンス理論と戦略論・組織論のそれぞれについて、テキストに掲載されている論点を優先し
て仕上げていくこと。

経済学

大原の答練をベースにした基本的・典型的問題の反復学習のみで必要十分。

民法

細かい論点には手を伸ばさず、基本的な制度や典型論点の正確な理解を心がけること。

統計学

基本論点をきちんと理解すること。そして、答練を通じて、沈着冷静な受験態度を醸成すること。

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