いよいよ直対期を迎える。
これからの過ごし方が勝負を大きく左右する。
何が大切か、何をすべきか、しっかりと把握してほしい。
自宅から程近い某都立公園はお気に入りの散歩コース。
冬が終わり夏が近づくこの季節になるとモノトーンだった景色がカラフルに色づいてくる。
新型コロナに振り回される人類の輪廻観に打ちのめされつつ、そんな事は全くおかまいのない自然の営みに触発されて、ふと平安の彼方の風流な言の葉が頭をよぎる。
「春はあけぼの。やうやう白くなりゆく山ぎは・・・」
そう、何と言っても「際:きわ」である。
「物の他と接する境目」(広辞苑)であり実に様々な所でお目にかかる。
今年は制約下ながら高校野球が甲子園に戻ってきた。
勝てるチームの選手に際立つのは「球際:たまぎわ」の強さだ。
十分に鍛えられた猛者達の中で最後に勝負を分けるのは、選手がボールとコンタクトするその瞬間の所作や思いにかかっていると言っても過言ではない。
受験生も直対期という最後の勝負の時期に差し掛かる。
多くの人はこれからの対処の仕方次第で合否のどちらにも転がり得る。
そこではやはり問題と向き合い答案用紙に解き記す時の「際」の強さが肝要だ。
「問際:といぎわ」とでも言おうか。
問題を正確に把握し、解答を採点者に的確に伝えるように“全集中”だ。
採点しているとよくわかるのだが、それは答案の一字一句に少しずつではあっても確実に反映され、全体としては大きな差になる。
そんな思いとともに逍遥しつつ、個人的には「やうやう薄くなりゆく生え際」などと呟いてし
まう今日この頃である。