世の中には思うように行かないことが多々あるもの。
すべて自分一人の力で解決しようとしてイライラするのはやめて、まずは自分ができることをやり続けてみよう。
ある日曜日の朝、家を出ようとしたところ息子が帰ってきた。
「何でこんな時間まで連絡をしなかったんだ。心配するじゃないか」
「携帯電話を家に忘れて連絡ができなかった。それくらいのことで何故キレるんだよ」
と開き直られてしまった。
これ以上の会話は難しいと思い私は駅に向かった。
歩いている途中でも何故か腹が立って自分でも情けなかった。
駅の階段を下りてホームに着くころ鳥の鳴く声が聞こえてきた。
森の中に居るようであった。
それまでの気持ちが落ち着き穏やかな気持ちで電車に乗りことができた。
その日は学生時代の仲間達と会う日で、そのなかの一人が言った
「何でもやろうとせず、自分ができることをやってみたら。明治学院大学教授の辻信一さんという方が訳したアンデス地方に伝わる『ハチドリのしずく』という話を読んでみるといいよ」
その話を紹介しよう。
森が燃えていました
森の生きものたちはわれ先にと逃げていきました
でもクリキンディという名のハチドリだけはいったりきたり口ばしで水のしずくを一滴ずつ運んでは火の上に落としていきます
動物たちがそれを見て
「そんなことをして いったい何になるんだ」
といって笑います
クリキンディはこう答えました
「私は、私にできることをしているだけ」
自分ができることをやり続けることできっと成し遂げることができるということであろう。
人それぞれ感じることは異なるであろうが私は決してキレることなく穏やかに接することができるようにと心に誓った。
その日から最寄駅で鳥の声を聴くことが楽しみとなった。