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こんにちは。財務会計論担当 瀧本です。

第14回以降は短答式試験対策として、出題範囲を指定せずに出題しています。第14回以降で質問や間違いが多かった点について取り上げます。

企業結合

第14回 問題6で合併比率の算定を出題しました。

合併比率は下記の式で求めます。

算定のポイントは「1株当たりの」企業価値を比較しているということです。

多くの問題では、合併比率を株価で算定しています。これは、株価が1株当たりの企業価値を表す代表的な指標だからです。

本問では、企業価値の算定方法として、純資産額法と収益還元価値法を紹介しています。いずれの算定方法であっても算定されるのは企業全体の価値です。したがって、合併比率の算定にあたっては、それぞれの会社の1株あたりの企業価値を算定して求める必要があります。

企業価値の算定方法は様々な方法がありますが、今回紹介した純資産額法と収益還元価値法を確認しておけばよいでしょう。

第15回 問題6で吸収合併の会計処理を出題しました。

本問のポイントは合併比率の算定で用いる株価と取得原価の算定において用いる株価が異なるということです。

合併比率の算定は、会計とは別の事情で算定されるため、問題を解くうえでは指示に従って算定すればよく、上述の第14回 問題6のように株価以外の方法で算定することもあります。

一方、取得原価は、原則として、取得の対価(支払対価)となる財の企業結合日における時価で算定することが会計基準の規定として定められていますので、合併比率を用いて算定した交付株式数に企業結合日の株価を乗じて求めることになります。

第16回 問題8で企業結合等の総合問題を出題しました。

本問のような時系列の問題は、まず、取引全体の動きを捉えましょう。個別財務諸表上は取引の形式(合併、株式交換、共同新設分割など)及び会計処理の分類(取得、共通支配下の取引、共同支配企業の形成)、連結財務諸表上は持分の変動を確認してください。

時系列の問題(もしくは見たこともないような形式の総合問題)であっても、個々の取引について丁寧に処理し集計するというのは、どの論点でも同様です。出題形式に惑わされずに基本の処理を確認し、部分点を確保するようにしましょう。

研究開発費・ソフトウェア・繰延資産

第15回 問題4で研究開発費・ソフトウェア・繰延資産を出題しました。

資料で与えられた項目がどの科目に該当するのかを判断する典型的な問題です。

機械装置Yは特定の研究開発に使用するものの、他の目的に転用できない機械装置ではありませんので、有形固定資産として取り扱います。ただし、研究開発に使用していますので、機械装置Yの「減価償却費」は研究開発費とします。

開発費に関しては、判断の難しい項目は出題されません(出題しにくい)ので、①新技術又は新経営組織の採用、②資源の開発、③市場の開拓というキーワードを押さえておきましょう。

ソフトウェア制作費の分類はテキストの一覧表が頭に入っていれば難なく解答できると思います。

株式交付費は、新株の発行と自己株式の処分に係る費用いずれも同様に取り扱われますので、自己株式の処分に係る費用についても繰延資産に計上することができます。会社法において、新株の発行と自己株式の処分の募集手続は募集株式の発行等として同一の手続によることは企業法で学習されていると思いますが、株式の交付を伴う資金調達などの財務活動に要する費用としての性格は同じであると考えているためです。

リース取引

第16回 問題5で残価保証を出題しました。

リース契約上に残価保証の取り決めがある場合には、残価保証額をリース料総額に含めて現在価値を計算します。残価保証額はリース期間終了時のキャッシュ・フローとして取り扱います。本問はリース料が前払いのケースとなっていますので、キャッシュ・フローの割引計算にあたっては注意が必要です(残価保証額はX4年3月末のキャッシュ・フローとして扱います。)。

第14回 問題3で維持管理費用相当額を出題しています。

論点そのものというより、問われている項目に注意してください。本問ではリース取引に関連して生じる費用の合計金額が問われていますので、支払利息のみならず、維持管理費等及び減価償却費を集計しなければなりません。

財務会計論(計算)に限らず、受験上、最も重要なことは、「問われたことに答える」です。

問題を見たら、まず何が問われているのかを落ち着いて確認し、さらに解答をマークする前にもう一度確認をするようにしてください。

ある特定の勘定科目の金額であれば、間違えることは少ないですが、本問のように費用の合計金額であったり、または収益の合計金額や損益に与える影響額など集計金額が問われている場合には、何を集計するべきなのかを冷静に判断することが求められます。

今回のポイント解説はここまで。

試験で大事なことは、「今までの努力を信じること」と「謙虚な姿勢で問題に向かうこと」です。

自分を信じて合格を勝ち取ってください。

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