未曽有の事態の中でも歩みを止めずに進んできた皆さん。
目標地点が見えてきた。
最後まで前を向いて進もう。
小学校2年生の夏休みに父に連れられて富士登山に行った。
初心者向けのルートではあったが、近所にあった600メートルにも満たない山にしか上ったことのない私からしたら苦しい道のりである。
途中からは息苦しくて顔を上げる余裕もなく足元にある溶岩石を見ながらどこまで続くのか分からない道を進むしかなかった。
ふと顔を上げるとその道の先には山小屋があり、空を見上げると空と山の切れ目も見える。
その切れ目が頂上であるかは定かではないが「あそこまで行けば終わる」と思い一歩一歩歩みを止めずに進んでいった。
途中の山小屋で一泊し、夜のうちに頂上に向けて出発をした。
頂上へ向かう人々のライトが頂上への道へと点々と続いており、自分の進むべき道を照らしているようだった。
そのライトで照らされた道を進んだ先に昨日は見えなかった頂上が見えたのである。
頂上で見たご来光は今でも忘れられない。
下山した後に親戚にお土産を持っていくと「富士山のぼったの!?すごいね!」と褒められ、ふと父の顔を見るととても嬉しそうだった。
未曽有の事態によって、どこまで続くのか分からない道を一歩一歩歩みを止めずに進めてきた皆さんの目標地点も定まり、残りあとわずかになってきている。
ここまで来れたのだから歩みを止めずに進むべき道を迷わず進んでいただきたい。
最後の一歩まで下を向くことなく前を向いて進もう。
その先に目指していたものが待っているのだから。