合格という結果は自分自身はもちろんのこと、支えてくれる家族、友人等にとっても一生の記憶に刻まれるもの。
ぜひとも今年は記念の年にしよう。
私の父は職人だった。
来る日も来る日も仕事場にこもって朝から晩まで仕事に打ち込んでいた。
土曜も日曜もなし。
わずかな休みは、盆と正月の数日のみ。
これだけ仕事をしていながら、我が家の生活は決して裕福なものではなかった。
私はいつの頃からか、「大きくなったら父とは違う仕事に就き、もっと裕福な生活が送れるようになりたい」と考えるようになった。
そんな私が大学生になった頃、公認会計士という資格の存在を知った。
ぜひこの資格にチャレンジしたいと思ったが、これ以上親に苦労はかけられない、という考えもよぎった。
思い切って相談したところ、父は「お金のことは心配するな。お前が本気でやりたいと思っているならやればいい」と言ってくれた。
この言葉を心に秘め、必死に勉強し、何とか合格することができた。
今では父も高齢となり、入退院を繰り返すようになった。
先日、父の見舞いに行ったら、父が嬉しそうに看護師さんに話していた。
「これ、うちの倅。公認会計士なんですよ!」
最近、物忘れが激しくなり、孫の名前も出てこなくなった父。
でも、私が公認会計士になったことは今でもはっきりと覚えてくれていた。
公認会計士の受験勉強は過酷な戦いである。
しかし、自分一人で戦っているのではない。
支えてくれる家族、友人等も一緒に戦ってくれている。
この人たちにとっても、合格という結果は一生の記憶に残るものである。
「記憶に残る合格」― 今年は皆さんの番である。