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論文式試験が終わった

たとえどんなミスをしていても、つらい結果が待っていそうでも「次こそは、明日こそは、これからは」と前向きに自分を奮い立たせて欲しい。

夏がくれば思い出す。

合格した年の暑い季節が長かったことを。

辛くて泣きたくなった。

腹が減っても、喉が渇いても、何も採れなかった。

不安で眠れなかった。

翌日は、起きているのが精一杯なはずなのに、ふらふらになるまで、問題を解いた。

試験当日、予想外の意地悪な問題が出た科目があった。

とても時間内に完答できそうにない分量の問題が出た科目もあった。

しばらく、頭の中が真っ白になった。

気を取り直し、とにかく解ける問題を探し、答えを書いた。

午後の三科目は肘が痛くて文字を書くのがやっとだった。

限界まで勝負した。

「終了です」の宣言を聴いた瞬間、ある問題を間違えたことに気付いた。

「今年は、もうだめだ」そんな声が聞こえてきた。

それを振り払い、次は、明日は、これからは…。

「前を向こう、あきらめるな」

と自分を奮い立たせた。

最後の試験科目が終了した。

立ち上がり、歩いている自分が不思議だった。

久々に食事を味わえる。

寝坊も許される。

理想通りの戦いはできなかったが、何かを成し遂げたとの充実感があった。

数日後、甲子園に高校野球を見に行った。

自分と同じように必死に頑張っている選手たちを見たかった。

彼らの必死な姿に涙が溢れてきた。

同時に、たとえ今年は結果を出せなくても、もう一年頑張ろうとの気持ちが涌いてきた。

東京に戻り、翌年に向けて受験勉強を再開した。

十月上旬、合格の知らせはあっけなかった。

合格したことより、もう勉強しなくていいことが嬉しかった。

合格の喜びを実感したのはそれから数日後だった。

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