初めて受験したときの師のことは忘れられない。
熱い魂を持った講師だった。
厳しくも優しい師の言葉を皆さんに紹介する。
久しぶりに受験時代の仲間と会った。
その時の会話は皆で初めて受験したときの師のことであった。
師は背が高く、大きな眼鏡の奥にいつも笑顔が光っていた。
声も大きくどこにいらしてもすぐにわかった。
歩くのがとても速く、話をしながら小走りについて行ったことを思い出す。
授業の合間に、ある寺の住職さんから聞いた話をしてくださった。
「三つ子の魂百まで」ということわざのことであった。
3、4歳の時に身に付けたことは百歳まで忘れない、生涯失わないということだ。
仏教では3歳の時までに教えてほしいことは「耐える、我慢する、忍ぶ」だそうだ。
その時に自分の心を自分で制することができればその心は一生続くとのことである。
師は私たちに耐えること、我慢することが大切であることを伝えたかったのだと思う。
師は私に「いいかげんな取り組みをしている人は、いいかげんな結果しかでない。」と厳しく言われたのを覚えている。
「努力は報われなければならない。報われなかったら報われるまで努力するしかない。報われないのは努力が足りないのだ。」
忘れることができない師の言葉である。
全てが素直に受け入れられた。
そして前向きになれた。
厳しい言葉の何倍も優しさが漲っていたからだ。
師は「己に勝つということ。世にこれほど凄絶なる戦いはない。」と言い残して46歳という若さでこの世を去られた。
まさに志魂と士魂と師魂と詩魂を併せ持つ師であった。