こんにちは。財務会計論担当 瀧本です。
第4回は固定資産の減損を中心に出題しました。前回のリース取引と同様、頻出論点ですから万全の準備をしておきましょう。
固定資産の減損の仕訳は
(減損損失)×× (固定資産)××
これだけです。
あとは、いつ仕訳を行うのか(認識)、いくら計上するのか(測定)を正しくできればOKです。
今回は、質問をいくつかいただいた問題6について取り上げます。
本問では、のれんの減損処理について、原則的な方法であるより大きな単位でのれんをグルーピングする方法を出題しています。
本問の解答手順は
① のれんの分割
② 個々の資産グループの減損処理
③ のれんを含むより大きな単位での減損処理
④ ③で算定された減損損失増加額の配分
① のれんの分割
過去に合併などの取引によりのれんを計上する場合、被取得企業が複数の事業を行っていればのれんは複数の事業についてまとめて計上されることになります。ある事業について減損処理を行う場合には、当該事業に該当するのれんを抜き出す必要があり、この作業がのれんの分割です。問題を解く際には、指示に従って分割をするだけですが、与えられているデータを丁寧に読むようにしてください。
本問では、「当期末より4年前に…のれん360,000千円を認識」と与えられています。したがって、当期末におけるのれんの未償却残高を求めてから分割をする必要があります。
② 個々の資産グループの減損処理
個々の資産グループについては、通常の固定資産の減損の処理を行うだけです。減損の兆候の有無、減損損失の認識の判定、減損損失の測定を各資産グループについて行ってください。
③ のれんを含むより大きな単位での減損処理
②の処理を行った後、のれんを含むより大きな単位での減損損失の認識の判定、減損損失の測定を行います。
本問では、②で資産グループCについて372,275千円の減損損失を認識しています。のれんを加えたより大きな単位での減損損失は796,275千円と算定されますので、のれんを加えたことによる減損損失の増加額は796,275千円-372,275千円=424,000千円です。
のれんを加えた結果、減損損失が424,000千円増えたわけですから、この増加額をのれんに配分します。しかし、事業Ⅰに分割されたのれんは230,400千円しかありませんので、減損損失の増加分をすべてのれんに配分することはできません。したがって、のれんに配分しきれなかった減損損失をいずれかの資産グループに配分することが必要になります。
④ ③で算定された減損損失増加額の配分
のれんに配分することができなかった減損損失の増加分を各資産グループに配分する方法は、解答上の必要があれば、必ず問題文において指示されています。
本問では、「のれんに配分された減損損失がその帳簿価額を超過する際に、当該超過額を各資産グループの回収可能価額を下回る結果とならないように、各資産グループの帳簿価額の比率により配分する」ことが求められています。したがって、424,000千円-230,400千円=193,600千円を各資産グループの帳簿価額の比率で配分することになりますが、「各資産グループの回収可能価額を下回る結果とならないように」と指示されていますので、既に回収可能価額まで引き下げている資産グループには配分しません。
本問において、のれんに配分することができなかった減損損失増加分を各資産グループに配分する基準は、帳簿価額の比率です。なお、本問では、資産グループA及びBについて回収可能価額が与えられていませんが、「回収可能価額を下回る結果とならないように」という指示は、既に減損損失を計上した資産グループには配分する必要がないということを意味していると読み取る必要があります。したがって、資産グループCを除く資産グループ(すなわち、資産グループA及びB)の帳簿価額の比率により配分します。
今回のポイント解説はここまで。
財務会計論(計算)ステップ答練Ⅰ 第4回の初見(答練実施時)での目標点は70点です。基本をしっかりと抑えておきましょう。