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こんにちは。財務会計論担当 瀧本です。

ステップ答練で点数が取れていなくても落ち込む必要はありません。ステップ答練では、受講後の復習が最も重要です。間違った原因を分析して、同じ間違いをしないためにはどうすればよいのか考え、対策をするようにしましょう。
また、皆さんがケアレスミスと認識している間違いも、軽く考えたりせずに、実力不足と認識して対策をするようにしましょう。

今回のポイント解説は、デリバティブ取引を取り上げます。

デリバティブ取引のイメージがつかめない。。(・・;)

多くの方にとっては、馴染みのない取引ですから難しく感じてしまいますよね。ですが、難しく考えずにシンプルに考えていきましょう。

デリバティブ取引の会計処理は、「デリバティブ取引により生じる正味の債権及び債務は、時価をもって貸借対照表価額とし、評価差額は、原則として、当期の損益として処理する。」と規定されています。

つまり、
儲かっていれば、
(デリバティブ取引) ××× (損      益) ×××
損していれば、
(損      益) ××× (デリバティブ取引) ×××

基本となる会計処理はこれだけです!

~国債先物について~

問題4(解答解説冊子E-7ページ~E-8ページ参照)の国債先物で確認してみましょう。ヘッジ会計を適用しない場合を確認してください。

まず、X1年2月1日に行った国債先物の売建て(将来、国債を売る契約)については、仕訳なしです。契約した時点では、儲けも損もないからです。
本問の契約は9,900千円の売建てですので、同時に反対売買を想定すると9,900千円で買建てることになり、儲けは、
9,900千円-9,900千円=0です。
※ 委託証拠金がある場合には、委託証拠金に関する仕訳が必要です(デリバティブ取引とは別物です。)。

次に、X1年3月31日(決算日)に時価評価します。
反対売買を想定すると国債先物の時価10,200千円で買建てることになりますので、儲けは、
9,900千円-10,200千円=△300千円です。
損していますので、
(先 物 損 益) 300 (債 券 先 物) 300
と処理します(仕訳の単位は千円。以下、同じ。)。

なお、本問では問われていませんが、例えば、翌月に10,300千円で差金決済されたと仮定すると、決済額が9,900千円-10,300千円=△400千円となり、
(債 券 先 物) 300 (現 金 預 金) 400
(先 物 損 益) 100
と処理することになります。

~オプション取引について~

問題8(解答解説冊子E-15ページ~E-20ページ参照)の〔資料Ⅱ〕5.(2)のオプション取引を確認してみましょう。

まず、前期X29年3月31日に行ったE社株式のコール・オプション(E社株式を買う権利)の購入は、
(買建オプション) 2,400 (現 金 預 金) 2,400
と処理します。権利は資産ですので、単純に資産を購入したと考えればOKです。

では、オプションを行使する前に期末を迎えた場合、どのような処理になるでしょうか?
仮に、E社株式のコール・オプションの期末時価が4,000千円になったとします。この場合、E社株式のコール・オプションの売却を想定すると儲けは、
4,000千円-2,400千円=1,600千円です。
儲かっていますので、
(買建オプション) 1,600 (オプション損益) 1,600
と処理します。上記の基本の処理を行うだけです。

ただし、本問では、オプションを行使し、差金決済がなされています。E社株式のコール・オプションはE社株式を買う権利ですから、オプションの行使により、条件に基づいてE社株式を購入することができます。
つまり、オプションの行使により、
(E 社 株 式) 77,400 (現 金 預 金) 75,000
               (買建オプション)  2,400
という処理が考えられます(①)。

ただし、差金決済ですから、権利行使価格でE社株式を購入し、E社株式を時価ですぐに売却したものとして考えます(②)。そのため、売却の仕訳を考えると
(現 金 預 金) 84,000 (E 社 株 式) 77,400
               (有価証券売却益)  6,600
という処理になります。

①と②は同時に行われていますので、仕訳を合わせると
(現 金 預 金)  9,000 (買建オプション)  2,400
              (オプション損益)  6,600
となり、上記の仕訳が当期に行われることになります(【解答へのアプローチ】5.(2))。
※ 実際には株式を直接売買していないので、②の有価証券売却益をオプション損益として仕訳します。

今回のポイント解説はここまで。

財務会計論(計算)ステップ答練Ⅰ 第2回の初見(答練実施時)での目標点は80点です。デリバティブ取引やヘッジ会計などに苦手意識があると厳しい目標点に見えるかもしれませんが、1回目に比べて問題自体は易しいです。90点以上を取られている方も多かった回ですので、本問レベルの問題は完答できるように準備しておきましょう。

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