こんにちは。財務会計論担当 瀧本です。
ポイント解説に入る前に、問題を解く際に必ず守ってほしい注意事項をお伝えします。
「解く前に問題を読むこと!」
「そんなの当たり前じゃん!」と思うかもしれませんが、これが意外とできていません。
特に、問題集で見たことのある雰囲気の問題の時に問題文をきちんと読んでいますか?
なんとなくで解いていると出題者の思惑どおりに間違えることになりますよ。
今回のポイント解説は、問題8(解答解説冊子E-17ページ~E-23ページ参照)を取り上げます。
そもそも決算整理前残高試算表って何?
大雑把に言えば期中に行った会計処理(仕訳)の集計結果です。
したがって、期中に会計処理が行われていなければ金額は反映されていませんし、誤った処理をしていれば誤った金額が集計されています。
~甲商品について~
さて、本問の甲商品ですが、売上割引と仕入割引の会計処理が誤っています。
甲商品の分析をする前に、まず、誤った処理を直すことが必要ですので、甲商品売上勘定と甲商品仕入勘定を修正します(【解答へのアプローチ】1.(1)①の仕訳です。)。
そのうえで、商品BOXを作成します。
商品BOXは何を分析しているものなの?
商品BOXは商品の流れ、つまり、期首にいくら分の商品を持っていて、期中にどれだけの商品を受入れて、どれだけ払出したのか。その結果、いくら分の商品が残っているべきなのかを表しています。
商品BOXの作成にあたって、決算整理前残高試算表のデータ等を使って金額を導いていきます。
まず、借方側、期首商品は繰越甲商品66,000、当期仕入は仕入割引を修正した後の仕入495,000です。
次に、貸方側ですが、本問は付加利益率を使って、売上原価を求めます。
原価率、利益率、付加利益率はいずれも売上値引前の売価を用いて算定しますので、原価率等を用いて分析する場合には、売上値引を控除する前の売価を求める必要があります。
本問では、売上値引は正しく会計処理されています。つまり、売上値引3,200は売上勘定から控除されていますので、商品BOXの分析上は一旦、値引前の売上高に戻す必要があります(【解答へのアプローチ】1.(1)③の※2です。)。
★損益計算書上の売上高は、売上値引考慮後の金額なので要注意!!
仕入値引は戻さなくていいの?
仕入値引は戻す必要はありません。この付加利益率や原価率などは、商品の定価を決める際に、自分が買った金額に対していくらの利益を乗せるのかを算定しているので、自分が買った金額は値引後の金額ということになります(100円のモノを90円にしてもらったのであれば、買った金額はいくらになるでしょうか?もちろん90円です。)。
したがって、甲商品の売上原価は610,200÷1.2=508,500となり、差額で期末商品52,500が算定されます。
~当座預金について~
問題文〔資料Ⅱ〕の3.で当座預金勘定の内訳がA銀行20,250、B銀行△1,500と与えられています。これは、B銀行に設けている当座預金口座については当座借越が生じていることを意味しています(A銀行とB銀行は別の銀行ですから、当然、当座預金口座も別物です。)。
借越しが生じている当座預金口座は、短期借入金として扱う必要がありますので、当座預金勘定が正の金額(本問では18,750)だとしても、B銀行の当座借越は短期借入金に振り替える必要があります。
今、当座預金勘定は下記のような状況ですので、
修正仕訳は、
(当座預金)1,500 (短期借入金)1,500
となります(【解答へのアプローチ】2.(2)②)。
今回のポイント解説はここまで。
財務会計論(計算)ステップ答練Ⅰ 第1回の初見(答練実施時)での目標点は70点です。
財務会計論(計算)は復習を疎かにするとすぐにできなくなります。目標点に達していた方も、目標点に届かなかった方も、繰り返し解き直し、時間内に満点が取れるように復習をしておきましょう。