こんにちは。管理会計論担当 柳沼です。
ステップ答練Ⅰ第7回についてのポイント解説となりますが、今回はこれ一つだけ!
仕損差異分析(異常仕損費)の問題の解くポイント
です。
苦手にされる方も多いですが、パターンが決まっていますので、下記に示すパターンを覚えて標準原価計算マスターになりましょう。最初はパターンを横において、手順を見ながら問題を解いてみましょう。
1.手順をしっかり踏もう。(E-4,5,8,9,12,13参照)
(1)投入産出関係の整理
(2)標準原価カードの作成
(3)生産データの整理
(4)差異分析
2.各手順における注意点を理解しよう。
(1)投入産出関係の整理
仕損が始点発生(問題2)なのか途中点発生(問題3)なのか終点発生(問題4)なのか分かるように整理し、産出(良品)を1個とします。
※問題文ではいろいろな表現が考えられますが、おおむね次のような表現となります。
・歩留率:産出(良品)÷投入
・歩減率:仕損(歩減)÷投入
・良品に対して●%の仕損:仕損÷産出(良品)が●%(以下、産出歩減率とします)
(2)標準原価カードの作成
標準仕損費の欄を埋める際には、次のように段階を踏んで計算するとよいでしょう。
①仕損品を1個作るのにかかるコスト(仕損品原価)を求めます。
・始点発生なら、直接材料費のみ
・途中点発生なら、直接材料費+加工費(加工された分だけ)
・終点発生なら、直接材料費+加工費(全額)
②仕損品1個の処分価値(仕損品評価額)はあるか確認します。
③仕損品1個の仕損費を①-②することにより求めます。
④③に産出歩減率を乗じて良品1個が負担すべき仕損費を求めます。
(3)生産データの整理
生産データを整理するに当たって、標準仕損量と超過仕損量(又は異常仕損量)を分けて記載するようにしましょう。その際にはE-4、8、9、12にある三本矢印を描いて、当期に仕損発生点を通過した良品は何かを把握し、それに産出歩減率を乗じて標準仕損量を求めるようにしましょう。
また、仕掛品勘定を作成するときは、以下の点に注意して作成するようにしましょう。
①前月繰越と次月繰越→仕損を負担させるか否か
問題2では、月末仕掛品は当月仕損発生点を通過しているため、仕損費を負担することになります。月初仕掛品は、確かに当月仕損発生点は通過していませんが、標準原価計算の場合、前月も同じ点で仕損していることが前提にありますので、前月の仕損費を負担している状態といえます。したがって、月初仕掛品も仕損費を負担させて計算します。
②製造直接費→パーシャルプランなのか修正パーシャルプランなのかシングルプランなのか
③仕損品は、仕損品(標準と超過の合計)に評価額を乗じて計算すること
④仕損差異(異常仕損費)は、超過(異常)仕損量に仕損品1個の仕損費を乗じて計算すること
⑤その他の原価差異は、とりあえず差額で計算して、分析していくこと
(4)差異分析(その他の原価差異をさらに分析していきます。)
※問題4 よくあるご質問として、直接材料費差異の分析で標準消費量を算定する際に、本問では2×9,000で算定していますが、9,000から160を控除した8,840を乗じるのではないですか?というものがあります。しかし、これだと数量差異が大きくなってしまいます。これは仕損差異の一部が数量差異にも入ってしまっているためです。仕損差異はすでに計算しており、残りの「その他の差異」を分析しているので、9,000を乗じて計算することになります。
最後に穴埋め問題を解いてみましょう。
標準原価算定の目的としては、おおむね次のものをあげることができる。
(一) (原価管理)を効果的にするための原価の標準として標準原価を設定する。これは標準原価を設定する最も重要な目的である。
(二) 標準原価は、真実の原価として(仕掛品、製品等)の(たな卸資産価額)および(売上原価)の算定の基礎となる。
(三) 標準原価は、(予算)とくに見積財務諸表の作成に、信頼しうる基礎を提供する。
(四) 標準原価は、これを勘定組織の中に組み入れることによって、(記帳を簡略化し、じん速化)する。
なお、穴埋め問題中の(答え)内は白文字を入れていますので、ドラックして反転させることで答えを見ることができます。