こんにちは。管理会計論担当 柳沼です。
前回の原価計算基準の問題の解答となります。
・原価の部門別計算とは、費目別計算においては握された原価要素を、原価部門別に分類集計する手続をいい、原価計算における第(二)次の計算段階である。
・原価部門とは、原価の発生を(機能別、責任区分別に管理)するとともに、(製品原価の計算を正確にする)ために、原価要素を分類集計する計算組織上の区分をいい、これを諸製造部門と諸補助部門とに分ける。
・副産物の加工、包装品の製造等を行なういわゆる副経営は、これを(製造)部門とする。
・工具製作、修繕、動力等の(補助経営)部門が相当の規模となった場合には、これを独立の経営単位とし、計算上製造部門として取り扱う。
今回はステップ答練Ⅰ第3回についてのポイント解説となります。
問題1は部門別計算からの出題で、配賦基準・配賦金額が問われております。
前回の記事で指摘した配賦基準・配賦金額の4つのパターンをしっかり理解しているかが問われています。
補助部門から製造部門への配賦をどうするかが問われており、次のように計算します。
①単一基準+実際配賦
変動費も固定費も実際発生額を実際用役消費量で除した実際の配賦率を用いて、製造部門へ配賦(実際の配賦率×各製造部門の実際用役消費量で計算)します。
②単一基準+予定配賦
変動費も固定費も予算額を予定用役消費量で除した予定の配賦率を用いて、製造部門へ配賦(予定の配賦率×各製造部門の実際用役消費量で計算)します。→予定配賦額が製造部門へ配賦され、予算差異と操業度差異が補助部門に残ります。
③複数基準+実際配賦
変動費は①と同様に計算し、固定費は実際発生額を用役消費能力で各製造部門に配賦します。
④複数基準+予定配賦
変動費は②と同様に計算し、固定費は予算額を用役消費能力で各製造部門に配賦します。
→予算許容額が製造部門へ配賦され、操業度差異のみが補助部門に残ります。
問題2は個別原価計算からの出題となります。
ポイントとしては次のとおりです。
①#740分割納入
受注数量65個(232,420円)のうち40個完成(@4,000円×40個)しているため、月末仕掛品原価は差額の72,420円となります。
②間接経費処理
仕損費は発生経費です。したがって、直接経費として処理するか、間接経費として処理するかが論点となります。
この場合、その製品の仕様が厳しいなど製品固有の原因によって生じた仕損の場合には、その仕損費は当然にその製品のコストとして処理する方がよく、これを直接経費処理と呼んでいます。
どの製品に賦課するかはっきりしているので「直接」費であり、仕損費は「経費」なので直接経費処理ですね。
また、作業内容そのものが特殊で、その作業を受けたすべての製品に共通して仕損が発生しうる状況で補修などが行われたのであるならば、そのコストは製造間接費として処理する方がよく、これを間接経費処理と呼んでいます。
本問では、第1製造部門の変動費には仕損費の予算額が含まれており、実際#710の製造途上において仕損が生じています。つまり、第1製造部門で仕損の生じる度合いがきわめて正常的(仕損が生じるのが通常な状態)であるため、予算額をあらかじめ設定しており、仕損費の実際発生額をその発生原因を生ぜしめた製造部門に賦課する(発生部門は決まっているので「賦課」です)ことになります。
最後に部門別計算の穴埋め問題を解いてみましょう。
個別原価計算において仕損が発生する場合には、原則として次の手続により仕損費を計算する。
(一)仕損が補修によって回復でき、補修のために(補修)指図書を発行する場合には、(補修)指図書に集計された製造原価を仕損費とする。
(二)仕損が補修によって回復できず、代品を製作するために新たに製造指図書を発行する場合において
1 旧製造指図書の全部が仕損となったときは、(旧)製造指図書に集計された製造原価を仕損費とする。
2 旧製造指図書の一部が仕損となったときは、(新)製造指図書に集計された製造原価を仕損費とする。
なお、穴埋め問題中の(答え)内は白文字を入れていますので、ドラックして反転させることで答えを見ることができます。