⇒ http://www.o-hara.ac.jp/best/kaikeisi/chokutai/moshi.html
二葉 2018年度公認会計士試験もいよいよ大詰めとなってまいりました。
我々資格の大原の講師陣もこれからの直前期に向けてどのような点を意識して学習すべきなのかを常に考え、議論をしております。
今回は4名の講師にお集まりいただき、直対期の過ごし方についてお話を伺います。
不安な気持ちに打ち勝つには
二葉 直対期を迎えるにあたって、受講生の皆さんも様々な悩みを抱えられているかと思います。
そこで、今日は受講生の皆さんの声を代弁する形でその悩みをぶつけていきますので、適切なアドバイスをお願いいたします。
まず、このぐらいの頃から「不安な気持ちが強くなって、なかなか地に足がつかなくなってしまいます」というお声を耳にします。
これはすべての公認会計士受験生に共通のことだと思いますが、不安な気持ちに打ち勝つにはどうしたらよいでしょうか。
栗田 不安な気持ちは誰でも持っていますが、それに打ち勝つにはまず、「できること」と「できないこと」をはっきりさせることです。
「この問題はできる」、でも「この問題はできない」というように今の自分の実力を客観的に把握するのです。
そうすれば、あとは、できない問題や論点を一つずつ潰していくだけです。
その際に注意していただきたいのは、全部完璧にできる必要はないということです。
合格に必要な範囲の問題が解けるようになれば良いのですから、できない問題や論点が大量にあるからといって諦めてはいけません。
試験の前日までコツコツと論点を潰し続けることが重要です。
髙橋 どうしても「できないこと探し」をしてしまうと思うのですが、「できない」と理解しているだけで第一歩です。
すべての科目に試験委員は大勢いらっしゃいます。
決して「端から端まで完璧」を求めてはなりません。
ここはこれくらいできる、という物差しを持つことです。
答練は必ず受けるべき
二葉 答練の結果が出ないことで余計に不安な気持ちが増してきて、答練自体を受ける気持ちが弱くなってしまう方もいらっしゃるようです。
瀧本 答練は実戦練習です。
テキストを読んだり、問題集を解いたりするのは基礎練習であり、実戦練習を経て初めて本番で戦えます。
基礎練習のみで本番で良い成績を出せる人はごく限られた方のみでしょう。
多くの方は、実戦練習を経て本番の感覚をつかむことにより、基礎練習で鍛えた能力を100%発揮することができるようになります。
実戦練習をせずに本番で良い成績は出せないのですから、公認会計士試験の学習であれば「答練受けずして、合格なし」ということになるのです。
栗田 そうですね。
また、答練は問題を解くこと自体も重要ですが、より重要なのは限られた時間の中で、全力で問題に体当たりすることだと思います。
なぜなら、全力で問題に向き合った時にひと回りもふた回りも成長することができるからです。
逆を言えば全力で問題に向き合わなければ本当の成長は望めないということです。
ですから、答練はしっかりと受けていただきたいですね。
長谷川 企業法の答練で言いますと、多くの方が初めのうちは結果が出なくて苦しんでおられます。
これは入門生に限らず、論文式試験経験者でも同じです。
この時に重要なのは、自分が答練に向けてどのくらい準備して、それに対してどのような点数が返ってくるかを体感することです。
準備不足だったから低い得点だった、この場合は絶対的な勉強量を増やすことで得点は必ず伸びます。
準備を十分したのに点数が低かった、この場合は勉強の仕方が間違っている、問題文の読解に問題があるなど、テクニカルな問題を克服する必要があります。
この検証を繰り返すと、本試験の直前に、どのような分量でどのような勉強方法をとれば、自分が合格点を獲れるかが把握できていることになり、冷静な気持ちで本試験を迎えることができます。
そのためにも、点数が低くても答練を受け続ける必要があります。
瀧本 そうですね。
ただ、誤解してほしくないのは、答練をただ受ければいいということではありません。
特定の答練で点数を取るために、前日にその論点ばかりやるというのはNGですが、普段の学習を疎かにして、ただ何となく答練を受けることもNGです。
答練では、答練を実施しているその時点での実力を測り、今後の対策を練っていくことに目的があります。
そのためには、基礎練習をしっかり積んでおく必要があります。
二葉 答練を受けることの目的をしっかり理解しておくことが大切ということですね。
瀧本 もう一つ強調しておきたいこととして、特に短答式試験を受験される方へのメッセージとなりますが、「論文答練は必ず受講してください!」ということです。
皆さんの目的は論文合格です。
そのためには、論文式試験の実戦練習を積まなければなりません。
また、論文式試験に向けた学習は短答式試験の理解を促進させます。
無機質に暗記をするよりも理解したうえで暗記するほうが効率も良くなり、忘れにくくなるはずです。
復習方法について
二葉 答練についての復習をどの程度のレベルにまで持っていくべきか、いかがですか?
髙橋 本試験を終えた皆様の感想を伺いますと、「答練でやった問題にそっくりでした」「違和感なく解くことができました」とお話しいただきます。
それほど大原の答練は的中し、復習しておくことが合格へ直結します。
「答練で出題されたものが、仮に本試験で同じ問題として出題された場合、満点が取れる」という状態にすることが重要です。
栗田 問題を解いた後、解答解説を見るので1回。
答案が返ってきた時点でもう1回。
さらに、答練の1ヶ月後を目安として1回。
こうすると約1ヶ月の間に3回確認することになり、ちょっとやそっとでは忘れない記憶となります。
この3回は気合を入れて復習して欲しいですね。
二葉 では、答練の復習に追われてしまい、テキストにしばらく触れていないという方はどうでしょうか。
栗田 まずは、テキストの目次をよく見て、忘れている論点やあやふやな部分を優先的に確認してください。
一方、覚えている論点はさっと確認するだけでいいでしょう。
試験勉強もリスク・アプローチです。
重点的に時間を掛ける部分を誤らないようにしてください。
二葉 テキストは勉強の最重要ツールですね。
また、5月短答を受験される方は、どのタイミングから短答科目の比重を高めていくべきでしょうか。
長谷川 短答直対答練が3月から始まるので、そのタイミングで短答科目の比重を高めていくとよいでしょう。
短答直対答練では、財務会計論の理論、監査論、企業法については、第3回まで範囲指定があるので、範囲指定に合わせて、きちんと準備して臨んでください。
ただし、結果を気にしてヤマを張るようなことをしてはいけません。
なお、短答の比重を高めたからと言って、論文対策を全くしなくていいという訳ではありません。
論文式全国統一公開模試第1回が3月30日(金)、3月31 日(土)、4月1日(日)に実施されますが、5月短答を受験する方も必ず受験してください。
5月短答に合格し、その勢いで8月の論文試験も合格された方の多くは、この公開模試をきちんと受験しています。
また、論文試験の勉強は、短答突破に必要な底力を身に付けることにもなるのです。
二葉 では、5月短答終了から発表までの期間を、充電期間として休養しようとお考えの方には何かいいアドバイスはございますか。
栗田 短答式試験の当日、試験終了後に大原の自習室に来て自習をされる方がいらっしゃいます。
8月の論文式試験はそんな方と同じフィールドで戦うことになるのですから、この期間休息なんてしてはいけません。
8月の論文式試験が終われば休息はとれますし、一生を左右しかねない1ヶ月です。
8月に向けてすぐに学習していただきたいです。
⇒ http://www.o-hara.ac.jp/best/kaikeisi/chokutai/moshi.html
論文式試験に向けて
二葉 最後の最後、論文式試験の直前は、どのような勉強が効果的でしょうか。
科目も多く、優先順位がなかなか付けにくいようです。
髙橋 科目ごとのバランスは確かに重要です。
苦手意識のある科目ほど、直前にあれもこれも、となりやすいのですが、順調に学習が進んでいる科目が衰えないように、時間で区切って学習を進めていただく、つまり、時間がきたらある程度諦めて次の科目に進む、という学習が必要です。
長谷川 本試験で重要なのは、試験範囲全般について穴がないという状態で試験に挑むことです。
苦手な分野が幾つかあっても問題ありません。
受験生のほとんどは同じ分野を苦手にしているからです。
一番怖いのは、他の受験生が書けるところを、自分はあまり書けなかったという結果になることです。
そこで、最後の最後にやるべき事が決まっていない方は、見たことのない知識・問題に手を広げるより、問題集、論文総まとめ若しくは答練の問題というように、今まで見たことのある問題をもう一度確認し、穴をなくす勉強をしてください。
二葉 やはり基本が一番大切ということですね。
各担当者からのメッセージ
二葉 では最後に、一言ずつ受講生の皆さんへエールをお送りいたしましょう。
髙橋 「はじめ!」と言われるときから全速力でいくために、当日の朝に何をするのか、昼休みに何をするのか、きちんと決めておきましょう。
大原の公開模試において、実際にそのように過ごしてみることが非常に重要です。
そして、「やめてください」の合図まで、ギリギリまで粘り、最後にもう1点獲得しましょう。
この1点が合格につながる1点です!
長谷川 本試験では、見たことのない問題が出題されることもあります。
その時、自分が知らないんだったら全国の受験生も知らないはずだ、という確信を持てることが重要です。
そうすると、落ち着いた気持ちで対応でき、混乱することもなくなります。
このような心のゆとりを持てる状態をつくること、それが試験勉強の最終到達点ではないでしょうか。
栗田 難しい問題ではなく、誰もが正解できるレベルの問題に正しく解答することが重要です。
そのための学習を残りの期間心掛けてください。
瀧本 合格というゴールに向けて前進あるのみ!合格を勝ち取ってきてください。
二葉 気持ちだけ焦っていても正しい勉強はできません。
また、綿密な計画を描いても実行する気持ちが無ければ机上の空論で終わります。
ハートは熱く、頭はクールに、最後まで頑張ってください。
では、以上で終わります。
ありがとうございました。