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こんにちは。財務会計論担当 瀧本です。

第3回はリース取引を中心に出題しました。リース取引は頻出論点ですから、借手の会計処理、貸手の会計処理ともに得点源とできるようにしておきましょう。
今回は借手の会計処理について解説します。

ポイントは以下の3つです。
・リース取引の判定
・当初計上額の算定
・利息相当額の算定

リース取引の判定

ファイナンス・リース取引やオペレーティング・リース取引と問題文中に明記されていれば、判定は必要ありませんが、単にリース取引と記載されているだけの問題では、必ず判定を行ってください。
例えば、問題8の〔資料Ⅱ〕7.では、リース取引としか記載されていませんので、まず、ファイナンス・リース取引かオペレーティング・リース取引かの判定が必要になります。
一方、問題1~問題7では、問題文の柱書にファイナンス・リース取引と明記していますので、ファイナンス・リース取引かオペレーティング・リース取引かの判定は不要です。
判定にあたっては、現在価値基準、経済的耐用年数基準を用います。判定基準はしっかりと覚えておきましょう。
また、ファイナンス・リース取引は所有権移転ファイナンス・リース取引と所有権移転外ファイナンス・リース取引に分類されますが、問題3~問題5のように明記されている場合を除き、正しく分類できるようにしておく必要があります。

当初計上額の算定

ファイナンス・リース取引と判定された取引は、まず、リース資産及びリース債務の当初計上額を算定する必要があります。
所有権移転ファイナンス・リース取引(貸手に物件を買ってきてもらうイメージです。)
貸手の現金購入価額がわかっているなら、買ってきてもらった物件価額(リース資産及びリース債務の当初計上額)は、貸手の現金購入価額です。
しかし、貸手の現金購入価額がわからなければ、推定するしかありません。したがって、貸手の現金購入価額がわからない場合には、リース料総額の割引現在価値(借手にとっての債務額の推定)と借手の見積現金購入価額(自分で買うならいくら?)のうちいずれか低い額をリース資産及びリース債務の当初計上額とします。

(補足:リース料の総額の割引現在価値について)
単純化のため、1年間のリース取引(後払い)を想定します。
貸手が100円で購入した物件を借手に年10%で貸し付けたら、リース料は100円×1.1=110円です。
リース料110円を年10%で割引計算したら、リース料の割引現在価値は100円です。リース料の割引現在価値から貸手の現金購入価額(借手にとっての債務額)を推定できました。
ここで、貸手の計算利子率がわかっていれば、より合理的な貸手の現金購入価額を推定できますから、貸手の計算利子率を用います。わからなければ、借手の追加借入利子率を用いるしかありません。

所有権移転外ファイナンス・リース取引(貸手の物件を使わせてもうらうイメージ)
貸手の現金購入価額がわかっていても、どれだけ使わせてもらっているか(貸手がどの程度残存価額を見積もっているか)はわかりません。したがって、貸手の現金購入価額がわかっていたとしても、リース料総額の割引現在価値との比較が必要になります。

利息相当額の算定

リース債務の当初計上額が算定されれば、リース料との関係で利率がわかります。
ここでも単純化のために1年間のリース取引(後払い)とします。
リース債務の当初計上額が100円でリース料が110円であれば、利率が年10%のときにリース料の割引現在価値が100円となり、リース債務の当初計上額100円と等しくなります。ここから利息相当額の算定に用いられている利率が年10%と推定できます。したがって、利息相当額は100円×10%=10円と算定されます。
仮にリース料が105円なら、利率は年5%と推定され、利息相当額は100円×5%=5円と算定されます。
つまり、リース債務の当初計上額とリース料の割引現在価値が等しくなるような利率が利息相当額の算定に用いられることになります。問題を解くうえでは、リース債務の当初計上額とリース料総額の割引現在価値が等しくなるような利率を問題文中から読み解くことが求められます。

今回のポイント解説はここまで。
財務会計論(計算)ステップ答練Ⅰ 第3回の初見(答練実施時)での目標点は70点です。リース取引は頻出であるがゆえに、捻った問題が出題されることもあります。ですが、基本をしっかりと抑えておけば、正答すべき問題を落とすことはありません。テキスト等で理解を深めておきましょう。

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