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こんにちは。管理会計論担当 柳沼です。

今回はステップ答練Ⅰ第6回についてのポイント解説となります。

1.率安定的減損の問題が難しいです。どうすれば解けますか?

工程を通じて平均的に発生する減損と率安定的な減損は何が違うのかを理解すると計算のイメージが付きやすくなります。

「工程を通じて平均的に発生する減損」は、工程のいたるところ(ランダム)で減損しているので工程を通じて平均的に発生しているとみなして計算しようというものです。一方「率安定的減損」は、加工進捗度に比例して減損が生じるもので、問題1の場合であれば、「40%進むと4%減損する」、「80%進むと8%減損する」、「100%進むと10%減損する」というように減損率が安定しているものをいいます。

「工程を通じて平均的に発生する減損」の場合では、完成品を生産するためにどれくらい減損が生じるか、月末仕掛品を生産するのにどれくらい減損が生じるかが分かりませんが、加工進捗度が進めば進むほど減損費を負担すべきであるとは言えそうです。

「率安定的減損」の場合では、完成品を生産するためにどれくらい減損が生じるか、月末仕掛品を生産するのにどれくらい減損が生じるかが明確に判明します。

問題1を例に挙げると次のとおりです。

上記より、月初→当月完成分5,400㎏を生産するために120㎏減損が生じているため、この分を負担する。当月投入→当月完成12,600㎏を生産するために1,400㎏減損が生じているため、この分を負担する。月末仕掛品3,800㎏を生産するために200㎏減損が生じているため、この分を負担する。というように計算できます。

2.そもそも加工費はなぜ面積で計算できるのでしょうか?

仕掛品の進捗度は、仕掛品の完成の程度を0~100%までのパーセンテージで示したものです。つまり、進捗度が50%であれば原価が完成品の半分かかっているということになります。加工費は、工程を通じて平均的に原価が発生していきますから、図にすると以下のとおりです。

月末仕掛品が4個だったら以下のようになります。

縦が4、横が0.5の長方形の面積が、加工換算量となります。

では工程を通じて平均的に発生する減損の加工換算量はどのように計算すべきでしょうか。
4個が減損していくイメージですと

1個目の●は0%地点で減損、2個目の●は1/3地点で減損、3個目の●は2/3地点で減損、4個目の●は100%地点で減損となります。したがって、上記のように三角形の面積が加工換算量になります。

もちろん、80%~100%が減損の区間のような場合でも同様に考えることができます。

3.E-6 問題2 問1 ※1の計算式は600㎏ではなく、480㎏を引くのではないですか?

減損の発生区間は20%~60%、月初仕掛品は80%、したがって当月は月初仕掛品から減損が発生していると考えられないため、直接材料費の数量で按分することとなります。

最後に穴埋め問題を解いてみましょう。

総合原価計算において、副産物が生ずる場合には、その価額を算定して、これを(主産物の総合原価)から控除する。副産物とは、主産物の製造過程から(必然に派生)する物品をいう。

副産物の価額は、次のような方法によって算定した額とする。

(一) 副産物で、そのまま外部に売却できるものは、(見積売却価額)から(販売費および一般管理費)又は(販売費、一般管理費)および(通常の利益の見積額)を控除した額

(二) 副産物で、加工の上売却できるものは、加工製品の(見積売却価額)から(加工費、販売費および一般管理費)又は(加工費、販売費、一般管理費)および(通常の利益の見積額)を控除した額

(三) 副産物で、(そのまま自家消費)されるものは、これによって節約されるべき物品の見積購入価額

(四) 副産物で、(加工の上自家消費)されるものは、これによって節約されるべき物品の見積購入価額から加工費の見積額を控除した額

なお、穴埋め問題中の(答え)内は白文字を入れていますので、ドラックして反転させることで答えを見ることができます。

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